交差点の物語り

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今年もやってきた秋。
朝晩のキリッとした冷たい空気。
日中の爽やかな日差し。
青空と紅葉のコントラスト。


…あれ?何か足りない。
キャンパスを走り回る赤いスタジャンは?野外ステージは?円形広場を囲む料理店は?アゴラの灯火は…?
みんなどこへ行ったの??

今日は静かな外語祭準備日。

申し遅れましたが、私は第98回外語祭実行委員会委員長の石橋実和子です。
「大変な年の委員長になっちゃったね〜。」
もう聞き飽きたこの言葉。
この言葉には嘘がある。
委員長だけが大変だったとは思わないで欲しいんです。
119人、みんな大変だった。
119人、みんなここまで踏ん張った。

その軌跡を少し書き留めることにします。

2020年1月下旬の総括合宿。
「コロナウイルス流行ってるらしいので気をつけて行ってきてくださいね!」
留学を控える先輩を見送る、まだ他人事だった頃。
2月下旬、大学から課外活動の自粛が要請され、3月以降に予定していた新歓活動が出来なくなった。
そして3月下旬、ついに対面での課外活動が中止に。

―点滅する青信号。

「開催できないかもな…。」
生じる疑念を必死で振り払おうとする。それを口にしたら負けな気がして、不安を抱え込んでしまう。吐き出せない本音。そりゃそうだよね、外語祭を「実行」するための委員会なのに開催が危ぶまれるなんてね…。
でもやはり「実行」する委員会なので実行を前提に進む議論。
「キャンパス開催する上で必要となる感染症対策を考えよう!」
これがなかなか進まない。苦しかった5月、6月。
入場制限?チケット制?消毒液?フェイスシールド?でも医療現場などで必要とされているものを学園祭で消費していいの?真剣に考えれば考えるほどキリがない対策。同時に未知のウイルスに対する恐怖心も拭えない。
「外語祭、ウイルスに怯えてまで強行突破する必要があるのだろうか…?」

―赤信号。立ち止まる。

外語祭を開催する意義を考えざるを得なかった。
そして外語祭を「実行」する委員会が活動する意味も。

―鳴り止まぬクラクション。

沢山悩んだね。訳が分からなかった。どうして?行き場を失う怒りと込み上げる悔しさ。そして先の見えない不安。「(当時からすると)11月の感染状況なんて分かるわけないじゃん。」

―排気ガスで空気はよどむ。

果たして核心に触れて良いのかお互いが探り探りの状態。しかも活動は専らオンラインに限られ、不足するコミュニケーション。本部員向けのご意見箱には鋭い言葉も。一部で三役に対する不信感が募る事態となってしまった。ごめん、抱えすぎていた。

どれだけ外語祭のことで頭がいっぱいになったことか。
GmailやSlackの通知に怯えた日々。
眠れぬ夜を過ごしたこともあったでしょう。
秋になると「非日常」がキャンパスに訪れる日常は奇跡であると気付かされたね。

―歩道橋から交差点を見下ろす。

スタッフブログを覗いて下さった皆さん、GAIGOSAI WEBの名簿ページをぜひご覧ください。今年の外語祭はこのメンバー119名一人一人が迷い、考え、互いに支え合い、自分なりの答えを出して踏み出した結晶です。(春学期は125名在籍。)数字で一括りにするのは乱雑すぎるので、一人一人の名前を見て、「〇〇さんという人は△局か、例年はあれを担当しているけれど今年はどうしたのかな?きっとこんなことに苦労したんだろうな。」という風に回想してみて下さい。そして一つ一つの企画、動画、WEBページ、ガイドブック等々にどれだけの思いが詰まっているのか、葛藤の先に生まれた執念が伝わりますように。
この軌跡が綺麗事で埋もれてしまう前に。
虹だけを見て雨が降った事実を忘れてはいけない。

―青信号。右見て左見て、僕らは渡る選択をした。世界と交わるために。

第98回外語祭が成功なのか失敗なのか、模範解答を示すことは出来ません。
だって正解は無いから。答えは一人一人違って当たり前。皆さんはどんな事を感じましたか?
私は完成した外語祭を見て「あたたかいな~」と思いました。上手く説明できないけれど、なんだかほっこりする手作り感。PC画面は無機質なはずのに、不思議。
このあたたかさは向かい風に立ち向かうため生まれた熱量の賜物か。
あるいは不完全さが転じて滲み出た味なのか。

季節は巡り、また秋がやって来るでしょう。
大丈夫。
交差点は好きなタイミングで渡ればいい。
キャンパスを走り回る赤いスタジャンも、野外ステージも、円形広場を囲む料理店も、アゴラの灯火も、
今は信号待ちをしているらしい。

今日は静かな外語祭準備日。
でも確かな足音が聞こえる。
交差点に向かって世界が歩いている。
迎えに行こう。

第98回外語祭「世界と僕らの交差点」の幕開けだ。

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【追伸】
未来の本部員へ

そこの君が第何回の本部員なのか分からないけれど、ここで出会えたのも何かのご縁でしょう。
歴代のスタブロを遡るなんて、なんて熱心なんだ!笑(かく言う私も全て読破していますが笑)
こんな年の外語祭もあったんですよ。
でも未来のあなたたちにバトンを繋ぐために初めてオンラインという形で開催しました。
戦災や学生闘争、そしてコロナ禍と、幾度も壁にぶつかりながらも脈々と受け継がれたこの歴史。
そして今この瞬間、あなたが新たなページを刻んでいるのです。その事実に誇りをもってください。
同時に、外語祭はあなたの想像以上に多くの人に支えられているという事実も忘れないでください。
外語祭実行委員会が存在する限り外語祭は無くならないと信じています。

2020年11月18日 第98回外語祭実行委員会の委員長より
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最後の写真は完全に蛇足だけど、サタボーに捕獲されるたふくじら。

私が2年間過ごした広報局の一大イベント、ズムサタの映り込み(97th)にて。
やっぱり原点は広報局ということで:クジラ:

石橋実和子(委員長)