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やがてスタジャンを着る君たちへ

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不幸自慢をしたいわけでも、誰かを批判したいわけでもないのだということを、本文に先立って明示しておきます。

〜〜〜
僕は今、局長業務にほとんど手を付けられない状態にあります。
これは自分自身を疎外し、貶めながら仕事を続けていた、当然の報いでした。

予兆は常にあったのです。
語劇局での僕は、周りにも苦しみの感情を隠しきれていない状態で仕事を続けていました。
どうして自分はもっと笑顔でいられないのか。
どうしていつも笑顔で、同期や後輩たちに愛情を注ぐことが出来ないのか。
他の局長たちや憧れていた先輩たちと比べては劣等感に苛まれ、自分を責め、それでも結局変われない、苦しむ姿を見せることしか出来ない自分を呪いました。
自分が心の底から憎くて、大嫌いになって、語劇の仕事が増えれば増えるほど、大嫌いな「語劇局長」としての自己が大きくなっていって………。
とうとう耐えられなくなって、局員たちの前に立つことすら出来なくなってしまったのでした。
〜〜〜

最初にも述べましたが、不幸自慢をしたいわけでも、誰かを批判したいわけでもありません。まずはこの場を借りて、今まで支えてくれた人たちへの感謝を伝えさせてください。

仕事がほとんど出来なくなってしまった僕がここまで外語祭実行委員の一員でいることが出来たのは、ひとえに語劇局の同期たちの理解と支えがあったからです。
改めて、ありがとう。ずっと尊敬しています。

そして三役局長をはじめ、他局同期の皆さん。
会議とかピリピリしちゃうことばっかりで、でも結局ほとんど何も変えられなくて、役に立てなくて、ほんとごめんなさい。
「語劇局長」という立場が導いてくれた皆さんとの縁が、色んな面で僕を支えてくれていました。気遣って声をかけてくれる存在が、救いでした。

そして語劇局の後輩たち。
思い描いた理想の局長にはなれませんでしたが、苦しみの中でも頑張ろうと思えたのは皆さんの存在があったからです。良き先輩として、良き局長として皆さんの前に立てなかったこと。事情もろくに説明しないまま、逃げるようにみんなの前から姿を消してしまったこと。謝らないといけないことだらけです。
ありがとう、そしてごめんね。

色んな人が心配してくれて、気遣ってくれて、最後まで手を差し伸べようとし続けてくれました。その差し伸べられた手を掴むことを選択できなかったのは他ならぬ自分だと、知っています。
大嫌いな自分から目を逸らすように、差し出された手を振り払って、自己犠牲に走っていました。責任感、使命感に囚われていました。
外実に向けられる誹謗中傷とか、コロナ対策とか、自分一人ではどうしようもない過酷な現実ばかりと向き合って、自分自身を絶望へと追いやっていました。
友人の評を借りれば、高みを目指し過ぎていた、のかもしれません。
だからどこかで壊れてしまった。
本当はもっと、後輩たちとご飯を食べたり、同期たちと飲み会に行ったり、局内外の人たちとおしゃべりをしたり、そんなプライベートなコミュニケーションを大事にするべきだったのに、信頼関係の基礎を、僕は見失ってしまっていました。
そのせいで、差し伸べられた手を掴むことが出来なかったし、抱え込んだ想いも、感謝の気持ちも、絶望的に足りなかった全てのコミュニケーションをこのスタブロに託すしかない有様です。

そんな僕から、そんな僕だからこそ、
やがて外語祭本番を迎える後輩たちに伝えておきたいことがあります。

どうか、過度な責任感や使命感で自分を追い詰めすぎないで。
たくさんの人とコミュニケーションを取って。
そしてどうか、自分の周りにたくさんの信頼関係を築いていってください。

外語祭期間が迫っています。
たくさんの人の尽力のもと、今年はハイブリッド開催に漕ぎ着けました。
人と関わる機会がたくさん、たくさん、あると思います。
その機会をぜひ、生かしてください。
いっぱい人と話をして、色んなものの見方、人のあり方を学んで、多様なコミュニケーションを楽しんでください。

来たる外語祭期間。
きっと僕は、残念ながらスタジャンに袖を通すことが出来ません。
外語祭と、外語祭実行委員会と、ギリギリ一本、糸のような繋がりを保つのが今の僕には精一杯で、そんな自分が我ながら、ダサくて、哀れで、惨めで。
それでも最後に、後輩たちに何かを残したくて、どうしてもこの想いを伝えたくて、このスタブロを書いています。

ここまでの文章で、少しも共感出来る部分が無かった人はそのままでいいんです。
でも。
「ああ、この人は私そのものだ」と感じてしまった方。
「こうはなりたくない、私はこの人とは違う」と同族嫌悪を覚えてしまった方。
ここまで読んでくれた皆さんの中に、もし、万が一、そんな方がいらっしゃったとしたら。
どうか僕と同じ轍を踏まないで欲しい。
たくさんの人と関わって、精一杯、外語祭を楽しんで欲しい。
いつかの自分が、一人で感情を抱え込まないように。
いざというとき、差し伸べられた手を掴めるように。

そして。
外語祭のことが大好きなはずなのに、どうしても辛くなってしまった時。
外実の仲間達のことは好きなはずなのに、どうしても逃げ出したくなってしまった時。
ダサくて哀れで惨めで中途半端で、それでもなんとか周りの支えで外語祭との繋がりを保ち続けることが出来た、99th語劇局長のことを思い出してやってください。
この文章が、自分の在り方が、いつか、誰かにとっての励みに、救いになることを願っています。

(せっかくなので僕もイラストを描きました。
外大の円形広場に集まる通路はどれも、広場の中央を微妙に外れたところを通る造りになっていて、そこがすごく好きです。
広場から放射線状に通路を伸ばすと必然的に、中心部と周縁部を生み出してしまう構造になってしまうから、外大の先生方が意図的にその形を避けたんじゃないかなって勘繰ってしまいます。粋ですね。

そんな円形広場で、そんな外大で、外語祭を迎える皆さんにも中心なんて、周縁なんてないから。
胸を張って、顔を上げて、一人一人が自分らしく、楽しく、外語祭を終えられますように。

99th語劇局長(語劇3年)